可能性をハックしよう!_六郷図書館

図書館で可能性をハックしよう ― 六郷図書館 検索スキルアップ講座 開催レポート

「将来やりたいことはある。でも、自分には無理だと思う。」

高校生と話していると、よくこの言葉に出会う。多くの場合、それは能力の問題ではなく、目標に近づくための条件や道筋を知らないだけであることが多い。2026年7月25日、六郷図書館にて、高校2年生9名を対象に「検索スキルアップ講座|図書館で可能性をハックしよう」を開催した。講師は一般社団法人Woolly代表理事の中村祥之。AI×図書館×教育を軸に、各地の図書館で教育・キャリアワークショップを行っている。

「可能性をハックする」という考え方

このワークショップの核にあるのは、「可能性認知」という考え方だ。ある目標について、必要な条件や到達経路を理解することで、現時点では困難であっても、条件次第では近づけると認識すること——それを講座では「可能性をハック」と呼んでいる。

裏ワザを探すことではない。「思い込み」で終わっている物事を、「調べる」ことによって、それまで見えていなかった道を見つける。それだけのことだ。「大統領になるなんて、どうせ無理でしょ?」という一見極端な例も、AIで条件やステップを整理し、司書に人物伝や関連資料を尋ねれば、「無理」と「まだ分からない」は別物であることが見えてくる。

当日の流れ

講座は次の5つのステップで進行した。

  1. 「どうせ無理」を探す ―気になること・無理だと思うことを自分の言葉にする
  2. 今の自分の位置を知る ―今できること・知らないことを整理する
  3. AIに聞く ―質問して視野を広げる
  4. 本のキーワードを探す ―本や資料につながる語句を見つける
  5. 図書館で確かめる ―本・資料・司書の力を借りて、信頼できる情報に近づく

前半では、調べる力とは「知りたいことを問いに変え、必要な情報を探し、確かめ、次の一歩へ変える力」であることを共有した。「大学に行きたい」という漠然とした思いのままでは調べようがないが、「学費はいくら?」「奨学金はある?」という問いに変えた瞬間、調べられる対象になる。

あわせて、AIとの付き合い方についても時間を割いた。AIは間違えること(ハルシネーション)、情報が古くなり得ること、そのまま答えを丸写しにしてはいけないことを確認したうえで、ChatGPT・Gemini・Copilot・Claudeそれぞれの得意分野を紹介。フェイクニュースを見抜く合言葉として「いなかもち」(いつ・なにのため・だれが・もとネタ・ちがう情報と比べたか)も取り上げた。

後半は「どうせ無理!?ゲーム」で、生徒それぞれが「好きな俳優と映画に出る」「大学卒までに本を出す」といった、現実離れしすぎず、かつワクワクする“ちょうどいい無理”をテーマに設定。ワークシートに①どうせ無理だと思うこと、②いま知っていること、③AIに聞きたいこと、④本で確かめたいこと、⑤今日の次の一歩を書き込みながら、AIと図書館資料の両方を使って自分のテーマを調べ、最後は「何を調べた?」「何が分かった?」「意外だったことは?」を発表し合った。

参加者の変化

講座前後で行ったアンケートでは、目標達成度の自己評価が参加前平均3.67点から参加後平均6.33点へと上昇し、9名中8名に改善が見られた。評価項目は全領域で平均4点台(5点満点)となっている。

参加者からは、「何をすればよいか分かった」「具体的な改善方法が見えた」といった、気持ちの高揚ではなく実践に直結する気づきの声が多く聞かれた。

まとめ

根拠なく「やればできる」と励ましても、具体的に何をすればいいか分からなければ人は動けない。今回の講座で伝えたかったのは、正解を当てることではなく、調べ方そのものを身につけることだった。検索力とは、情報を探す力・見極める力・次の一歩に変える力の掛け算である。調べ方が変わると、見える未来も変わる。図書館は、その練習を何度でもできる場所だ

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